コーポレートファイナンスの視点から企業を評価する: 企業価値の基礎知識

コーポレート・ファイナンス

企業価値について

この記事の内容
今回はコーポレートファイナンスにおける重要な企業価値について紹介したいと思います。
企業価値を理解することは投資をするうえでも、企業に就職したり転職するうえでも非常に重要です。なぜならその企業をファイナンスの観点から評価することが可能になるからです。
この記事では企業価値の概念について図を用いて簡単に解説しています。

ご挨拶

こんにちは!
なめらかな社会の実現のために、世界を自由にメタバース上で体験できるミラーワールドを作っているかっつーです。
僕は経済学部3年でファイナンス、アカウンティング、金融政策などお金にまつわる様々な分野を学問してきました。このブログでは、ファイナンスや経済に関するトピックについてもわかりやすく解説していきます!
それでは具体的な内容について深掘りしていきましょう。

記事を読むことのメリット

今回の記事を読むことのメリットは下記になります。

  1. 投資判断の精度向上: DCF法を理解することで、将来のキャッシュフローを正確に評価し、より良い投資判断が可能になります。
  2. リスク管理の強化: 不確実性やリスクを定量化し、管理する能力が向上します。
  3. 価値創造の機会発見: 企業やプロジェクトの真の価値を見極め、価値創造の機会を発見できます。
  4. 財務計画の最適化: 長期的な財務計画を立てる際の精度が高まります。
  5. コミュニケーションの向上: 投資家やステークホルダーとのコミュニケーションにおいて、数値に基づく説得力ある説明が可能になります。

この記事の対象者は下記になります。

本記事のターゲット

  • 個人投資家: 自己資産の管理や投資判断を改善したい人々。
  • 企業の財務担当者: 企業価値を正確に評価し、戦略的な財務計画を立てたい人々。
  • 経済学や財務を学ぶ学生: 実務に役立つ財務の知識を深めたい人々。

この記事が読み終わるまでの時間は「5」分です。

企業価値とは?

皆さんは投資をする際や就活や転職をする際に、企業をどのように評価するでしょうか?もちろん年収であったり、福利厚生であったりネットの評判などもチェックするかも知れません。

今回の記事を読むことで、ファイナンスの観点から企業を評価することができるようになります。そのための指標の一つが企業価値です。

企業価値とは企業全体の真の価値を測るための指標です。
企業価値は株価のみを観るのではなく、企業の負債であったり、現金および現金同等物を考慮して算出される真の価値になります。

企業価値を知るためのキーワード

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まず貸借対照表を思い出してください。
左側には固定資産や流動資産が基本はありますが、ここではそれらの資産の捉え方を変えます。事業資産非事業資産という捉え方に変えます。

事業資産はその企業が行っている事業から生み出される資産になります。後ほど解説しますが、それはキャッシュフローの現在価値などから算出されます。

非事業資産は事業価値を創出しないような資産のことです。例えば、使われていない遊休不動産や貸付金などが該当します。
事業負債は事業運営上発生する借金のことです。例えば、仕入債務(借入金や支払手形)、未払金、未払い給与などです。(従業員に支払う給与は会社からすると事業運営上の負債になります)
有利子負債は利息をつけて返さなければならな負債のことです。銀行や金融機関からの借り入れや社債は有利子負債になります。
※有利子負債と資本コストの関係はこちらの記事をどうぞ!

企業価値と事業価値の違いは?

次に企業価値と事業価値の違いについて説明していきたいと思います。
下記の図にあるように、まず貸借対照表の事業資産から生み出された事業価値を算出します。

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事業資産よりも事業価値が大きくなっているのは、あくまでこの企業が事業資産を元に事業しさに上のものを生み出しているからということになります。そして非事業資産はそのままの大きさになります。

上記の図からわかるように、企業価値は事業価値と非事業資産を足し合わせたすべての価値を指します。
そのため、事業価値と企業価値は別物であることがわかると思います。

企業価値は負債と株式価値をあわせたもの

下記の図は企業価値の概念を事業負債、有利子負債、株式価値と比較しながら表したものです。

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上記の図のように企業価値は事業負債、有利子負債、株式価値をあわせた額であることがわかるかと思います。

つまり、事業価値と非事業価値を合わせた価値を企業の市場評価として企業価値と呼ぶ一方で、捉え方を変えると、債権者に帰属する価値と株主に帰属する価値の合計を同様に企業価値と呼びます。

株式価値は言い換えると時価総額にもなります。テレビやニュースなどの報道で時価総額について出ることがあると思いますが、あれは株式価値のことを表していました。

ちなみに、時価総額は株価×株数で表されますので、株式価値を発行株式数で割った値が株価になります。

株式価値には有利子負債の増減は反映されないということは、企業が銀行から借り入れをしたからと行って、単純に考えれば株式価値が薄まることはないです。むしろ積極的に投資していると考え株価が上がる場合もあります。事業環境にそれは寄りますね。

まとめ

今回は企業価値の概念や事業価値との違い、株式価値と時価総額などについて説明していきました。この企業価値についての理解が深まったので、次はいよいよ企業価値の算出方法であるDCF法について理解することができるようになります。
それでは簡単にまとめます。

  • 企業価値は、企業全体の真の価値を示す指標であり、株価だけではなく、負債や現金及び現金同等物も考慮に入れて算出される。
  • 企業価値を理解することで、投資判断、企業分析、就職・転職活動がより効果的になる。
  • 企業価値と事業価値は異なる概念であり、企業価値は事業価値に加えて、非事業資産や負債も考慮した総合的な価値を指す。
  • 企業価値の計算には、市場価値(株式価値+有利子負債-現金および現金同等物)が用いられ、企業の全体的な価値を把握するのに役立つ。
  • 個人投資家、ビジネスプロフェッショナル、キャリアを考える学生など、多様な背景を持つ人々が企業価値を理解することで満足感を得られる。
  • 企業価値を理解し活用することは、個人の資産管理、企業の財務戦略の理解、経済全体の健全性に貢献する。